新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不安を感じていらっしゃる方も多いと思います。このような中で、心身の健康をどう維持していくか、森田療法の観点から、対処法や留意点についてお話しさせていただきます。
1.正しく恐れる
恐怖には対象があり、不安には対象がないと言われます。新型コロナウイルスは対象があるので、正しく恐怖を感じ、予防することが大切です。その上で正確な情報を得ることは必要ですが、現代社会は情報過多で、中にはフェイクニュースも紛れています。それらに振り回されないように、ある程度情報を絞っていくことが必要です(朝と夕方のニュースだけにする、など)。
一方、不安は実際に感染していなくても感じてしまいます。過剰な不安を作り上げてしまわないことが大切です。
2.過剰な不安を作り上げてしまう悪循環
私たちが強い不安を感じると、それに注意を引きつけられ、それにとらわれて、それしか考えられないような状態となります。そして、すぐに安心を得ようと、その不安を打ち消す行動や過度の回避行動(過剰な情報収集や過度にひきこもるなど)をとると、ますます不安を強めてしまいます。
3.悪循環から抜けるコツ(こころの持ち方・行動の仕方)
① 不安はそのままに
このような私たちの不安の裏側には、「安心して暮らしたい」「よりよく生きたい」という自然で健康的な生きる欲望、生きる力があります。この生きる力が、不安を打ち消そうとする方向に向かってしまうと、悪循環になってしまいます。ですから、「このような状況で不安になるのは自然なこと」と認識しましょう。そして、その不安を今すぐどうにかしようとすることを一度やめてみましょう。
② 「今できること」に手をつけていこう
自然に感じてしまう「不安」そのものをなくすことはできないことです。不安ながらにも「今できること」に手をつけていきましょう。具体的には「家族や仲間と辛いことや困っていることを共有する」「好きな音楽を聴く」「簡単な運動をする」「家の掃除・片づけをする」「職場・職場外の相談窓口を利用する」など色々とありそうです。
新型コロナウイルスのワクチンと治療薬が早くできることを期待して、今を乗り越えていきましょう!