2018年11月28日、森田病棟にてクリスマス会が開催されました。過去に森田病棟に入院されていた患者さん、森田療法センターを応援してくださる方々、病院関係者がゲストとして招かれました。
クリスマス会に来ていただく方々に楽しんでいただけるよう、そして自分達がその瞬間を楽しめるよう、1ヶ月ほどかけて準備を行ったわけですが、その道のりは平坦ではありませんでした。演劇は創造的な活動であり、そのプロセスには対話が欠かせません。脚本、演出、舞台装置、役者がそろって初めて成り立つものです。ここ森田療法センターには演劇の専門家はいません。この時期に偶然出会った患者さん達が、対話を繰り返し、力を合わせ、限られた時間の中で作品を創り上げるのです。
森田療法に入院される方の多くは、悩みの背景に、向上心が強く完全主義的な傾向がある一方で、内向的で先のことをあれこれ心配する傾向があり、両者が共存しています。“もっと時間があれば”、“もっと予算があれば”、“もっと人がいれば“、と思うのが自然な心でしょう。しかし現実は有限であり、今あるものでいかに良い作品を作るかがポイントとなります。森田療法では、”物の性、時の性を尽くす“ということを大切にします。これらを実践することが最終的に”己の性を尽くす“ことにつながり、自己肯定感となるのです。
患者さんが書き上げた演劇は、童話の「赤ずきん」をモチーフにした「白ずきん」という演題でした。ある冬の寒い日、森で迷子になった少女と、森に住むおおかみが出会い物語が始まります。少女とおおかみの心の交流が描かれていました。
クリスマス会を行うにあたり、我々病院スタッフも患者さんと同じ心得で挑んでいます。入院中の患者さん、ご参加された方々、本当にありがとうございました。