みなさん、お元気ですか?
雑草。
雑草、雑草、雑草。
あ、こりゃどうも、先生。これからお昼ですか?
えー、最初におことわりをしておきますが。
別に雑草を育てているわけではありません。
自分の中では、暇を見つけては抜いているつもりだったのですが。
抜けども抜けども生えてくる、彼ら。
果てしなく広がる緑を前に、なんだか海で漂流したような無力感に襲われるのですが…。
草取りをしていると、そんな雑草たちからもほんとうに多くのことを教わります。
過去の記事で何度か、入院森田療法を支えてくれる植物たちを紹介してきましたが、忘れてはいけません。
彼ら雑草こそがきっと、影の主役なのです。
土を作って、水をやって、肥料をやって、あげく虫まで避けてやらないと育たない私たちの作物と違って、雑草はどこにでも生えている。
いえ、少し違いますね。彼らは生える場所を選べたわけではなく、たまたま種が落ちた場所に、たまたま生えているだけ。
日当たりの悪い湿気た空間。
コンクリートの隙間の狭い土。
それなのに、こんなにも堂々と葉を広げ。
抜かれても抜かれても残る深い根を張り。
文句ひとつ垂れない。
とても敵わないなぁ、と思うのです。
「唯だ揀択(けんじゃく)を嫌う」という言葉があります。
私たちのように、足であちこちを歩き回って、好きな場所を選べるからこそ、かえって迷いや後悔が生まれるのかもしれません。
…そんなことを思うのも、自由にあちこちを歩き回れない期間が続いているからでしょうか。
ただ与えられた場所で、生き抜くたくましさを。
見下ろせばいつも、足元で踏ん張っている彼らに学びたい、と思うのです。
…と、そんなことを考えながら草取りをしていたら、耳の後ろを蚊に刺されました。しかも両側。
耳には虫除けスプレーしなかったからなぁ…。
「耳なし芳一」はほんとうは実体験だったんじゃ…と思って、少し背筋が寒くなったのでした。