感情との付き合い方

森田療法はもともと「森田療法」と名付けられていた訳ではなく、森田正馬先生は「自然療法」と称し患者さんに接することがあったようです。
森田先生が言う「自然」とは、自然界の現象だけを指すのではなく、①身体感覚、感性などの人間にそもそも備わっているもの、②喜怒哀楽等を含むさまざまな感情、③人間の自然治癒力等も意味していたようです。当センターの入院生活では、植物や動物と共に暮らしているため、天候の影響を受けたり、突発的なアクシデントに見舞われることがしばしばあります。自然はそう簡単に人間の思い通りにはいきません。
感情も、日々生きている中で生じる自然現象であると捉えてはいかがでしょうか。例えば、「○○さん怒ってください」、「○○さん喜んでください」、と私が言ってもそれは無理ですよね?感情は何かがあって自然に湧き上がってくるものなのです。
人間誰しも、嫌な感情は避けたいものですが、それをコントロールしようとせず、そのままにしておくこと、感情を操作しないことが肝要です。目の前のことに真剣に取り組むことで、そこにさまざまな感情が生まれます。その感情に優劣をつけず、あるがままに受け入れることで新しい視野が開けると思います。